シリコン部会(部会長:角谷 宏 信越半導体㈱社長室 担当部長)は、7月19日に記者会見を開催し、
2015年のシリコンウエーハメーカーの売上高、設備投資額、営業利益等の実績を報告するとともに
2016年直近のシリコン産業界の状況を説明いたしました。
概要は次の通り。
シリコンウエーハメーカーの2015年決算(連結ベース)
当部会加盟社の2015年度の売上高合計は、7,259億円であった。
前年比で1%増となり、3年連続の売上増となった。
設備投資は、各社共に大規模な能力増強は実施していないが、
高品質化対応の投資が増えており、2015年度は前年比で32%増、
売上高比7.1%の515億円になった。
研究開発費は、先端デバイスの微細化に対応する高精度ウエーハ、
省電力デバイス向けウエーハ等の開発を継続しており、
2015年度は237億円となり、ここ数年は大きな変動はない。
営業利益は、リーマンショック後の落込みから徐々に回復傾向にあり、
2015年度は前年比44%増、売上高比9.8%の711億円となった。
しかし、2006年~2008年の高水準時に比べるとかけ離れた状態にある。
2016年の状況・見通し
当部会は、2016年のウエーハ需要について、半導体メーカーの生産能力増強と
2Xnm以細の先端品需要の拡大や環境・省エネ向け需要の伸長などにより、
300mmを中心に需要は緩やかに拡大し、
200mmは車載・産業向けに底堅い需要が続くとした年初の予測通りに
概ね進行していると考えている。
国内単結晶生産は、6月までの実績推移と夏場以降の需要見込みを考慮し、
年初予測の前年比4%増の8,440トン並を期待する。
国内単結晶販売についても、内需・輸出共に堅調に推移しており、
年初予測の9,110トン並の販売を期待する。
多結晶需要については、シリコンウエーハの生産拡大に伴い堅調に伸長しているが、
依然として生産調整は続いている。
今後は、半導体向け需要の伸長、ならびに、太陽電池向けの継続的市場拡大により、
能力余剰は徐々に解消されていくものと予測する。
終わりに
シリコン業界を取り巻く事業環境は、内外半導体メーカーのM&Aや事業再編、
ファブレス・ファウンドリー市場の更なる拡大、
極限まで追求されつつある半導体微細化の進展等、年々変化を続けており、
これらに対応する為の生産体制構築が重要となっている。
そして、国内固有の懸念事項として、世界的に割高な電力料金及び電力需給問題もある。
当部会は、一昨年発生した加盟一社の事故の重大性を真摯に受け止め、
安全操業確保の諸施策を実施し、
新金属協会「災害防止対策安全委員会」の主要メンバーとして
安全管理体制の強化に継続的に取り組んでいる。
また、最先端半導体の品質要求を満たす高精度ウエーハの開発と安定供給を図り、
生産性向上や合理化による不断のコスト低減活動を推進すると共に、
環境・省エネ指向の拡大に伴うパワー半導体向けウエーハの
需要増へも対応していかなければならない。
これらパワー半導体等今後の成長分野における材料規格の重要性に鑑み、
シリコン部会と連携する形で
協会内に「半導体サプライチェイン材料規格研究会」を設け活動を開始している。
更に、国が進める金属素材競争力強化プランへの参画や将来のスマート社会に貢献するため、
シリコン業界の継続的成長と安定的収益確保を図らなければならないと考えている。
<今後のシリコン業界の課題>
① シリコン需要構造変化や高精度要求への対応
1) 最先端デバイスの微細化要求品質への対応
2) 不断のコスト低減
② 世界的に割高な電力料金への対応と電力安定供給の確保
③ 継続的成長を実現する安定的収益確保
半導体産業の中長期的な発展のため、各社それぞれの経営課題としての対応はもとより、
原材料メーカーや半導体メーカーとの関係強化により課題解決に努めて参る所存であり、
半導体産業ひいては我国ハイテク産業全般に対して、
必要不可欠な材料を担う当シリコン業界の健全な発展のために、
引き続きご支援を賜りたくお願い申し上げる次第である。