シリコン部会(部会長:角谷 宏 信越半導体㈱ 社長室担当部長)は、7月11日に学士会館で記者会見を開催し、
平成29年度売上高、設備投資、営業利益等の実績を報告するとともに、平成30年の状況について
説明しました。
シリコン部会が集計した別紙の実績表を公表するとともに、概略次の通り説明しました。
シリコンメーカーの2017年決算(連結ベース)
当部会加盟社の2017年各社決算期ベースの売上高合計は、旺盛なシリコンウエーハ需要により、
前年比25%増の8,821億円となり、9年ぶりに8,000億円の大台を超え、9,000億円に迫るレベルまで回復した。
設備投資は、先端半導体の増加に応じた高精度化対応や生産性向上等の投資により、
前年比69%増、売上高比9.6%の849億円となった。
研究開発費は、最先端半導体の微細化進展に対応する高精度ウエーハや
省電力デバイス向けウエーハ等の開発を継続しており、
2017年は前年並みの238億円となり、2011年以降は大きな変動無く推移している。
営業利益は、リーマンショック以降回復傾向にあったものの、
利益率は10%を下回り低位で推移していたが、
2017年は需給バランスの改善により、前年比168%増の1,874億円と大幅な増加となった。
利益率も21.3%になり9年ぶりに20%を上回った。
2018年の状況・見通し
当部会は、2018年のウエーハ需要について、内外半導体メーカーの生産能力増強、
20nm台を切る先端品需要の伸長や環境・省エネ向け需要の増加などにより、
300mm需要は生産能力の制約はあるものの緩やかに拡大し、
200mm以下は車載向けや産業・民生向けIoT、
省エネ向け需要などの底堅い需要が続くとした年初の予測通りに進行していると考えている。
国内単結晶生産は、5月までの実績推移と夏場以降の需要見込みを考慮し、
年初予測の前年比2%増の9,380トンを上回ることを期待している。
国内単結晶販売については、内需はほぼ年初予測通り、輸出は好調に推移しており、
年初予測の10,190トンを上回る販売を期待している。
多結晶についても、半導体向けシリコンウエーハの生産拡大に伴い、生産量は増加している。
取り組みと課題
シリコン業界を取り巻く事業環境は、内外半導体メーカーのM&Aや事業再編、
中国製造2025の動き、極限まで追求されつつある半導体微細化の進展など、
様々な需要構造変化が続いており、
更には国内固有の懸念事項として、世界的に割高な国内電力料金の問題もある。
また、安全面においても、安全操業確保の諸施策を検討し、
新金属協会「災害防止対策安全委員会」で策定した行動計画を協会会員会社にも順次展開し、
安全管理体制の強化に継続的に取り組んでいる。
シリコン部会加盟各社は、需要構造変化への対応と共に、
最先端半導体の品質要求を満たす高精度ウエーハの開発と安定供給を図り、
生産性向上と合理化による不断のコスト低減活動を推進しており、
環境・省エネルギー指向の拡大に伴うパワー半導体向けの需要増へも対応していく所存である。
また、シリコン部会は、一昨年新金属協会内に発足した「半導体サプライチェーン材料規格研究会」と連携し、
パワー半導体向け材料の標準化活動なども推進している。
<今後のシリコン業界の課題>
①需要構造変化と品質高度化への対応
1)最先端デバイスの高精度要求への対応
2)生産性向上と不断のコスト低減
②世界的に割高な国内電力料金への対応
③継続的成長を実現する安定的収益確保
④供給安定化への対応