タンタル部会(部会長:荻子 貴康 三井金属鉱業(株)機能性粉体事業部 営業部 担当部長)は、2020年タンタル需要実績を集計し、公表しました。
2020 年のタンタル国内需要について、コンデンサ向けは、上半期(1 月~ 6 月)が対前年同期比でやや減少したと推定される一方、下半期(7月~12月)が対前年同期比で大きく伸長したと推定される。2020年のタンタルコンデンサ生産は11.49億個(前年比-3%)で前年並みとなった。国内コンデンサメーカー各社は海外へ生産を移転する傾向にあり、国内コンデンサ生産数量のトレンドとタンタル材世界消費数量のトレンドは必ずしもリンクしないが、2020年下半期は海外生産も好調に推移し、タンタル材の世界消費数量も堅調又は増加傾向にあったものと推定される。
化合物については、引き続き低迷している。スマートフォンに使用されるSAWフィルタ用高純度酸化タンタルは、新型コロナウイルス感染拡大によるスマホサプライチェーンの機能不全は改善されて多少の回復は見られるが、5Gに伴う需要増加が待たれる状況で本格的な回復には至っていない。光学レンズ向けなど、他の酸化タンタルの需要も依然として弱い状況が続いているが2020年上期で底打ちはしたように見られる。炭化タンタルについては、日本機械工具工業会の統計によると超硬工具向けの消費量は、2020年14.9トンであり、前年の17.6トンと比べ、16%減となった。自動車減産等による在庫調整局面を脱しつつある為、炭化タンタル需要も徐々に回復するものと推定される。
タンタル薄膜材料向け需要については、2020年の半導体需要が堅調だったことから好調だったと推定される。
スーパーアロイ等の耐熱超合金向け純タンタル需要ついては、その用途が産業用設備や航空機等に大きく依存している。新型コロナウイルスによる需要先市場の低迷により、2020年は低迷したものと推定される。