一般社団法人新金属協会

希土類部会需要実績を公表

希土類部会(部会長:清水 和宏 信越化学工業(株) 電子材料事業本部 マグネット部 レアアースグループ 担当部長)は、2022年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。

1.磁石
2021年のネオジム磁石の生産量は、2021年より市況は悪いものの、対前年比 約6%増であった。2022年前半で需要が伸長し、後半は半導体不足による自動車関連の需要減により調整局面となったものの、通年としては前年度より増加したと推測される。

2.蛍光体 
2022年の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約14%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。環境配慮気運の高まりや電力コストの上昇も代替を加速させている。
2022年の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比で約10%減であった。ステイホーム需要が一段落した。また、物価高の影響もあり冬季オリンピック/パラリンピックやサッカーワールドカップは、需要喚起につながらなかった。PCやタブレット端末などのテレワーク特需も収束した。LEDの波長変換にはレアアース系蛍光体も用いられるが使用量は極めて少ない。また近年はレアアースを用いない新たな発光材料も次々と登場している。総じて蛍光体用レアアースの需要は減少した。

3.セラミックコンデンサ
2022年のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比約20%減の11,275億個となった。エレクトロニクス市場はPCやタブレット端末やデータセンター向け需要が低迷、継続した。
カーエレクトロニクス向けは自動車の生産が緩やかに回復しEV化による使用部品数も増加したことで需要は堅調に推移した。
ロシアのウクライナ侵攻などによる地政学的リスクによるエネルギー価格の高騰に伴い、省エネ、再生エネルギー関連、二次電池、蓄電池等の需要は高いレベルで推移した。
おおむね、自動車向け需要は悪くはないため、半導体材料の不足が解消となれば、さらに堅調に推移、回復へ向かうと思われる。
しかしながら、セラミックコンデンサでは脱レアアース化が浸透しており、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低位安定した状況で大きな変化はない。

4.排ガス触媒
2022年の世界の自動車生産は、とくに後半においてコロナウイルス感染拡大の影響が軽減し持ち直したが、いまだ半導体不足の影響が継続しており、結果として世界の自動車生産台数は2021年比で微増にとどまった。国内の自動車生産台数も2021年とほぼ同数と伸び悩んだ。
そのような状況下、2022年の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,418tと、2021年の10,314tから9%減、販売量については2021年から7%減となった。上記の自動車生産台数と比較しても低調な結果となった。

5.研磨材
液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2022年の需要は、COVID-19による生活様式の変化に伴う需要は一巡し、低調に推移した。液晶用ガラス基板向けについては、テレビ向けの巣ごもり需要は一服、在宅勤務やオンライン授業向けのノートPCやタブレット需要も落ち着き、サプライチェーン全体で過剰在庫圧縮の動きとなり下落した。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、SSDへの置き換えトレンドは続いており、サーバー等の大容量向け需要は継続的に拡大しているものの勢いは一服し、全体需要はやや軟調であったと見られる。

2022年希土類需要実績