一般社団法人新金属協会

シリコン部会プレスリリース

シリコン部会(部会長:谷田貝 悟 株式会社SUMCO 社長室 経営企画部 次長)は、

3月28日に、シリコンウエーハの生産・販売等に関し、2023年の実績、2024年の見通し等について、公表しました。

                             

1.2023年の実績

1-1)2023年の世界半導体市場は、世界的インフレやそれに伴う利上げ・地政学的リスクの高まりにより、メモリを始め殆どの製品で年前半は大きなマイナス成長であった。一方、利用が急拡大している生成AIの恩恵を受け易いロジックの急増を始め、メモリやマイクロなどの需要も改善して年後半に向けて市場は回復基調となってきた。

WSTS統計によれば、2023年の金額ベースの市場規模は前年比9%減の5,246億ドルと落ち込み、シリコンウエーハ出荷面積と相関があるIC半導体出荷個数についても同様に前年比15%減の3,374億個に留まった。

1-2)2023年の世界シリコンウエーハ市場は、半導体同様在庫調整の影響で市況が低迷した。SEMI統計によると、2023年の半導体用シリコンウエーハ出荷面積は前年比14%減の126億平方インチとなり、出荷金額も前年比11%減の123億ドルに留まるものの、1平方インチ当りの平均単価は前年比4%増の0.98ドルであり、2年連続の価格改善となった。

1-3)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば、2023年の国内単結晶生産は、シリコンウエーハ市場と同様に年間では前年比15%減の9,621トンであった。

国内単結晶の販売についても、前年比13%減の10,844トンであった。海外向けが前年比13%減の7,300トンであり、国内向けは前年比14%減の3,545トンとなった。また、輸出比率は前年と同等の67%であった。

2. 2024年の見通し

2-1)2024年の半導体市場は生成AI関連やパワーディスクリートの需要が引き続き成長することに加え、電子機器全般の需要が拡大することにより成長すると想定されている。

 2023年秋季WSTS予測によれば、2024年の半導体市場は前年比13%増の5,884億ドルまで回復するものと予想されている。地域別では、市場の5割以上を占めるアジア地域が前年比9%増、2割以上を占めるアメリカが21%増と見込まれている。

 また、IC製品別では、IC市場の2割以上を占めるメモリが2023年に前年比29%減と大きく落ち込んだ反動もあり、2024年には前年比41%まで回復すると予測されている。

2-2)当部会ではWSTSや各種予測も踏まえ、シリコンウエーハ市場は半導体同様2024年には2022年レベルをやや超える程度の市場規模まで回復するものと予想する。

 2024年の国内単結晶生産は前年比19%増の11,459トンと見込んでいる。

同様に、国内単結晶販売においても前年比19%増の12,916トンを見込んでおり、内訳として内需は4,222トン、輸出は8,694トンと予想する。

更に多結晶需要についても、半導体向けシリコンウエーハ需要同様、2024年に回復するシナリオを想定している。

3.今後の課題

シリコン業界を取り巻く事業環境は米中貿易摩擦に代表される地政学的リスクの顕在化やAIの更なる進化及び5Gの普及に伴う極限までの半導体微細化進展など、様々な需要構造変化が続いている。これらの変化に加え、国内固有の懸念事項として世界的に割高な電力料金や燃料費の問題も挙げられる。

シリコン部会加盟各社は最先端半導体対応の為の品質の更なる向上や生産性向上及び合理化による不断のコスト低減に取り組んでおり、更には環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも積極的に対応していく所存である。

〔今後のシリコン業界の課題〕

①需要構造変化と品質高度化への対応

 1)最先端デバイスの高精度要求への対応

 2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応

 3)生産性向上と不断のコスト低減

②世界的に割高な国内電力料金への対応

③拡大する半導体市場への安定供給

④顕在化する地政学的リスクに対応したサプライチェーンの多岐化・安定化

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本資料の取り扱いについて

・本説明資料にて言及した内容は当協会の独自見解に基づいており、如何なる投資等についても何ら約束をするものではありません。何卒ご理解の程、宜しくお願いします。

〔関連情報〕Youtubeによる広報活動について

  半導体&シリコンチャンネル/新金属協会シリコン部会

  https://www.youtube.com/channel/UCcZnVpgxKtLPZSKuk9W37Tg/videos