一般社団法人新金属協会

希土類部会2023年需要実績を公表

希土類部会(部会長:松岡晃 ソルベイ・スペシャルケム・ジャパン(株) 代表取締役)は、2023年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。

<概要>

2023年の希土類製品需要は、磁石用、電池用、自動車触媒用等で需要が増加した一方、蛍光剤用、研磨材用で需要が減少した等、用途や元素ごとに状況が異なるが、希土類製品合計では16,434トンと、2022年に比し2.5%の微増となった。

<用途別>

1.磁石

2023年のネオジムの供給量は中国国内外共に増加した。

半導体の供給改善で世界的に自動車販売台数が増加し、中国経済は低迷しているものの、2023年中国新車生産台数は過去最高の3,000万台を超え、前年比11.6%増となった。

日本国内の需要も増加し、2023年ネオジム・ジジムの日本国内需要は前年比8.5%増の5,229トンとなった。

2.蛍光体

2023年の蛍光ランプ国内出荷個数は前年比で約14%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。環境配慮気運の高まりや電力コストの上昇も代替を加速させている。

2023年の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比で約10%減であった。ステイホーム需要の収束、物価高騰が影響しているものと思われる。個人がスマホ等で動画を視聴するスタイルの普及もあり10~30代の年齢層に「テレビ離れ」も見られる。PCやタブレット端末などのテレワーク特需も収束した。LEDの波長変換にはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。また有機ELなどレアアースを用いない新たな発光材料も浸透してきた。この分野のレアアース需要は減少した。

3.セラミックコンデンサ

2023年1~12月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比約10%減の10,038億個となった。

エレクトロニクス市場はPC、タブレット端末やデータセンター向け需要の低迷が継続した。

カーエレクトロニクス向けは自動車の生産が緩やかに回復しEV化による使用部品数も増加したことで需要は堅調に推移した。

中国の内需低迷に伴い市場全体としては低調であったが、年後半からは半導体向けやエレクトロニクス市場も回復に向かっていると思われる。

しかしながら、セラミックコンデンサでは脱レアアース化が浸透しており、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低位安定した状況で大きな変化はない。

4.排ガス触媒

2023年の世界の自動車生産は、コロナウイルス感染拡大や半導体不足の影響から回復し自動車生産台数は2022年比で10%近く増加し、国内の自動車生産台数については2022年比で15%増と好調に推移した。

そのような状況下、2023年1-12月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,847tと2022年1-12月の9,418tから5%増、販売量については2022年から2%増、販売金額については2022年から25%減となった。生産量、販売量は前年を上回ったが、自動車生産台数の伸びと比較すると上昇幅は低い結果となった。これは中国向けの輸出が低調であったためであると思われる。販売金額の減少については、触媒成分である貴金属価格の下落により販売単価が低下した影響による。

5.研磨材

液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研磨材の2023年1~12月の需要は、総じて低調に推移したと見られる。テレビやノートPC、タブレットなどに使用される液晶用ガラス基板向けについては、欧米をはじめとするインフレの継続や不透明な国際情勢などにより個人消費は伸びを欠き、多くのメーカーは調整局面で推移したと推定される。またハードディスク用ガラス基板向けも、世界経済の不透明感を背景にデータセンターなどの計画の後ろ倒しにより低調な状況が続いたと見られる。

2023年希土類需要実績