希土類部会(部会長:渡邊眞一 太陽鉱工(株)取締役)は、2024年の希土類製品の需要実績を集計し、公表しました。
<概要>
2024年の希土類製品需要は、磁石用、電池用等で需要が増加した一方、蛍光剤用、自動車触媒用、研磨材用等で需要が減少した等、用途や元素ごとに状況が異なるが、希土類製品合計では18,835トンと、2023年に比し14.6%の増加となった。
<用途別>
1.磁石
2024年の中国によるネオジムの供給量は増加した。
世界的な需要も伸びており、用途別では特に風力発電(前年比+47.2%)、自動車駆動モーター(前年比+25.4%)の伸びが著しい。
日本国内の需要も増加し、2024年ネオジム・ジジムの日本国内需要は前年比5.2%増の5,500トンとなった。
2.蛍光体
2024年の蛍光ランプ国内出荷個数は前年同期比で約19%減であった。LED ランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。
2024年の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比で約3%増と4 年ぶりにプラスであった。五輪需要や夏季賞与の増額などで特に夏場が好調であった。照明やディスプレイ用LED にはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。また有機EL などレアアースを用いない新たな発光材料も浸透してきたが、蛍光体向け全体としては需要が減少した。
3.セラミックコンデンサ
2024 年1-12 月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比約7%増の10,720 億個となった。
エレクトロニクス市場は買い替え需要や新規モデルの立ち上がり等によりICT 関連需要は堅調に推移した。また、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン等の需要は堅調に推移した。さらには、AI サーバー等IT インフラ投資の拡大を背景にコンピュータ向け部品需要が増加。カーエレクトロニクス向けはBEV の販売減速により自動車向け受動部品、センサ関連は低迷となった。自動車における使用部品数も増加しており生産台数減少ではあるものの需要は大きく減少せずにある程度堅調に推移した。
欧州ではドイツを中心とした製造業の低迷、中国では不動産不況及び雇用環境の悪化等で需要は低くなりつつも、金融政策による内需拡大が下支えとなっており、半導体向けやエレクトロニクス市場も低調ながらも高い需要が継続されていると思われる。
しかしながら、セラミックコンデンサでは脱レアアース化が浸透しており、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低位安定した状況で大きな変化はない。
4.排ガス触媒
2024 年の世界の自動車市場は、コロナ禍からの回復基調の流れの中で生産台数、販売台数とも2023 年比で微増となった。一方、国内の自動車生産台数については、一部メーカーの認証問題による生産停止などの要因により2023 年比で8.5%の減少となった。
そのような状況下、2024 年1-12 月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は9,020 トンと2023年1-12 月の9,847 トンから8%減、販売量については2023 年比で13%減、販売金額については2023 年比で41%減となった。販売金額の大幅な減少については、触媒成分である貴金属価格の下落、より安価な貴金属使用への移行により販売単価が低下した影響による。
5.研磨材
液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2024 年1-12 月の需要は、パリオリンピック・パラリンピックやEURO サッカーなどのスポーツイベントによるテレビ用パネルの需要回復を見込む向きもあったが、総じて低調に推移したと見られる。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、データセンターなどの計画が後ろ倒しになるなど低調な状況が続いていたが、下半期はAI サーバーなどへの投資が動き出し、需要も回復基調となったと見られる。