一般社団法人新金属協会

東京大学名誉教授 石野 栞 先生 傘寿お祝いの会開催

石野 栞 先生におかれましては、本年1月に満80歳をお迎えになられました。
このため、ジルコニウム部会と核燃料加工部会は、1月28日に「傘寿のお祝いの会」を催しました。

阿部ジルコニウム部会長から概略次の通り祝辞が述べられました。

「先生は、材料の基礎研究に携われ、多くの業績を残されました。
ご専門の照射損傷の観点から、軽水炉用、高速炉用そして核融合炉用材料に関して、多くの研究成果を上げてこられました。
こうした研究と並行して、大学・大学院において、多くの学生の教育に心を払われてこられました。
現在、原子力をはじめとしたエネルギー分野、材料研究開発分野で活躍する多くの有為な人材をお育てになられました。
原子力産業界へのご指導も熱心にして頂きました。
燃料に関する基準つくりにも携わられ、標準化と技術開発というともすれば両立が難しい2つの面を考慮し、対応して頂きました。
ジルコニウム関係者にとりましては、平成14年より、この新金属協会ジルコニウム部会の顧問をお引き受け頂き、永きに亘り、ご指導を頂いております。
今後も、引き続き、私どもを高い見地から、ご指導頂きたいと存じます。」

また、肥田核燃料加工部会長から概略次の通り祝辞が述べられました。

「先生は長きにわたって、ご自身のご研究ならびに学術雑誌の編集者として、照射損傷の世界的権威としてご活躍されました。
先生の著書である「照射損傷」は、原子力を目指す学生のバイブルとして読まれ、今でも多くの材料技術者がその拠り所とさせていただいております。
核燃料関連では、古くは日本学術振興会122委員会における原子炉材料の検討から始まり、
燃料、部材の国産化を目指した基準の整備等創世記から種々ご指導をいただきました。
その結果、初期には多発した燃料リークは低減され、被覆管材料に起因するリークは無くなるとともに、
リーク率の低さで一時期は欧米を抜き去るほどにまでなりました。
先生は学生の教育にもご熱心で、先生の講義を受けた当時の学生は、学問を究めた研究者でおられながら講義はとてもわかり易く、
卒業後も自分たちのことを覚えていただいていて光栄ですと申しておりました。
政府においてもようやく原子力を基幹電源とする旨のメッセージも発信され、
必ずや原子力が復活すると確信しております。
先生におかれましては、これからもお体を大切にいつまでもお元気で、
後進の活動を見守りつつご指導をいただければと思います。」

石野先生からは、原子力工業とのかかわりについて様々なエピソードのご講演をいただきました。
先生の小講演と部会長祝辞の全文を本年3月に発行を予定している「新金属工業 春号」に掲載いたします。

石野先生傘寿お祝いの会