一般社団法人新金属協会

会長挨拶

会長写真

新金属協会会長の諏訪邉でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年を振り返りますと、国外ではロシアによるウクライナ侵攻や中東紛争の激化は収束が見えず、以前にも増して国際情勢の混迷が深まり、我が国を取り巻く地政学リスクの厳しさが一段と増した年になりました。また、アメリカではトランプ新政権が発足するところであり、経済・外交政策がどう変化するのか世界が注目しています。

こうした中、新金属業界におきましては、各種電子デバイスの需要低迷を受けサプライチェーン全体での調整局面からの回復が徐々に進んでいるものの、時間を要している状況の中、半導体に関連する生成AI関連の需要やデータセンター関連需要の拡大といった将来に向けての明るい話題が聞こえてきております。また、核燃料加工業におきましては、原発の再稼働が遅れ厳しい状況が継続していますが、昨年末に女川原発、1月10日には島根原発が営業運転を再開したことも明るい話題です。
他方で、国際情勢の悪化を受けたエネルギー価格の高騰やそれに伴う電力価格の上昇、地政学リスクの高まりを受けた主要国の輸出管理規制の強化の動きはサプライチェーン全体への影響が懸念されています。

足元においてはこのような環境にあっても、中長期的な観点からは、グリーン・デジタル社会の進展に応じて、当業界を取り巻く市場は引き続き成長が期待されます。こうした新しい社会の屋台骨ともなる高機能素材分野は、協会の会員各社により支えられており、長年にわたり日本のストロングポイントとして競争力を有している産業のひとつだと思います。本点に関し、政府は国際情勢の緊張等を受けて、半導体、永久磁石、重要鉱物等のサプライチェーンの強靭化を図るとともに、経済安全保障の視点から技術管理についても強化を図っております。このように新金属産業の取り扱う高機能素材は一層重要度を増していると同時に、政府と新金属産業界との信頼関係がより重要になっており、技術流出のリスクを共有しながら、我々自身が安定供給の責務を果たしていく取り組みを継続し強化していくことが大変重要になっていると認識しています。

当協会としましては、本年においても、広くサプライチェーンを俯瞰しつつ、優れた部素材を安定的に供給していくため関係官庁、関係団体とも連携を図って参ります。また、9つの各部会の活動、関連する研究会活動を軸として以前にも増して積極的な活動を進め、異業種共同体としてのシナジー効果を活かし、会員会社様とともに、限られた地球資源を最大限に有効活用して、幅広く社会に貢献出来るよう努力して参りたいと考えております。

最後になりますが、日頃からの協会活動へのご理解とご協力に改めて感謝申し上げますとともに、本年も引き続き皆様の一層のご支援とご鞭撻をよろしくお願いいたします。

以上、簡単ではございますが、新年のご挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(令和7年1月15日 賀詞交歓会・表彰式 会長挨拶 要旨)

会長 諏訪邉 武史