新金属協会会長の諏訪邉でございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
本年は、災害という悲しい出来事からのスタートとなってしまいました。「能登半島地震」でお亡くなりになられた方に心から哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様そして被災されました皆様へ心よりお見舞い申し上げます。被害が拡大しないことを祈りつつ皆様の安全と健康、そして1日も早い復旧を心より願っております。それでは、新金属協会を代表して一言ご挨拶させていただきます。
昨年を振り返りますと、3年間続いた長いコロナ禍が収束に向かい、社会・経済に活気が戻ってきた一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東紛争の激化など、我が国を取り巻く地政学リスクの厳しさが一段と増した年になりました。
こうした中、新金属業界におきましては、国際情勢の悪化を受けた原燃料等の価格高騰やそれにともなう電力価格の上昇などの影響を受けており、自動車需要の回復やグリーン・デジタル関連需要の拡大といった将来に向けての明るい話題がある一方で、足元においては、各種電子デバイスの需要低迷を受けサプライチェーン全体での在庫削減の動きが強まったことにより、調整局面が続いています。
これに加え、特に核燃料加工業におきましては、原発再稼働の遅れにより、大変厳しい状況が継続しております。
足元においてはこのような環境にあっても、中長期的な観点からは、グリーン・デジタル社会の進展に応じて、当業界を取り巻く市場は引き続き成長が期待されます。こうした新しい社会の屋台骨ともなる高機能素材分野は、協会の会員各社により支えられており、長年にわたり日本のストロングポイントとして競争力を有している産業のひとつだと思います。本点に関し、政府は国際情勢の緊張等を受けて、「経済安全保障推進法」により、半導体、永久磁石、重要鉱物等のサプライチェーンの強靭化を図る姿勢を鮮明にしています。このように新金属産業の取り扱う高機能素材は一層重要度を増しており、我々自身も安定供給の責務を果たすため、懸念国からの供給途絶に備える体制を築くことが大変重要になっていると認識しています。
当協会としましては、本年においても、広くサプライチェーンを俯瞰しつつ、優れた部素材を安定的に供給していくため関係官庁、関係団体とも連携を図ってまいります。また、昨年、協会内に磁石用希土類リサイクル部会と希土類磁石研究会の2つの新しい組織を立ち上げましたが、これらを含め9つの部会活動、関連する研究会活動を軸として積極的な活動を進めてまいります。異業種共同体としてのシナジー効果を活かし、会員会社様とともに、限られた地球資源を最大限に有効活用して、幅広く社会に貢献出来るよう努力してまいりたいと考えております。
最後になりますが、日頃からの協会活動へのご理解とご協力に改めて感謝申し上げますとともに、本年も引き続き皆様の一層のご支援とご鞭撻をよろしくお願いいたします。
以上、簡単ではございますが、新年のご挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(令和6年1月15日 賀詞交歓会・表彰式 会長挨拶 要旨)
会長 諏訪邉 武史