一般社団法人新金属協会

ベリリウム部会

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。 Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需要動...

業界業況

ベリリウムの主要用途はベリリウム銅合金(Be-Cu)製造のための添加元素である。

Be-Cuは代表的な高級導電バネ材料であり、その主要な用途はコネクター、スイッチ、リレー、ICソケットなどの各種電子部品である。それらの電子部品の需要は、部品として組み込まれる自動車(電装品)、半導体、家電品等の需要動向に大きく左右される。Be-Cu需要は、2023年は、自動車向け需要は回復し堅調継続だったが、産機や家電分野は低調となった。2024年上半期は、自動車向け、半導体向け需要が減少、家電向けが緩やかな回復となった。

自動車:

2023年は、各自動車メーカーは増産計画を発表。部品在庫の消化もあり、需要は堅調に推移した。

2024年上半期は、日系の認証不正、部品不具合、中国での販売苦戦等で需要は減少へ。海外では、中国NEV向けは期首より想定通りの需要で推移。NEV向け用途の伸長は今後も期待でき、技術動向を捉え、効果的な提案を通してBe-Cuの採用件数を拡大させていく。

半導体:

2023年は、巣籠り特需で伸びたパソコン、スマホ向け半導体の需要が減少、加えて旺盛なデータセンター投資にもブレーキがかかった。

2024年上半期は、AI向けを中心とするデジタルインフラ投資の拡大、ADASのレベルアップによる半導体市場での需要増が見込まれていたが、3~6か月の立ち上りが遅れており、上期は低調に推移。

下期より立ち上がる見込みであり、2025年末までの継続を見込む。

家電製品:

Be-Cuはスイッチ、コネクターやリレー端子など導電バネ部品用途、信頼性が要求される箇所に使用される。

当需要は家電生産の中心である中国の影響を受ける。

2023年は、中国不動産業の不振が強まり需要は減少、また流通在庫の消化も鈍い状況であった。

2024年上半期は、不動産不況は続くも、中国政府の景気刺激策や流通在庫も適正に近づくことより需要は増加へ。

継続は楽観できないが、年間の需要物量は昨年を上回る見込み。長期的には安定成長する分野の為既存用途向けと高品質家電向け新規需要を取り込んでいく。

光海底ケーブル:

世界各国間のデータ通信は光海底ケーブルを経由して行われ、その中継器筐体にBe-Cuが使用されている。

2023年は、複数のプロジェクトを抱え、通期は想定より強い需要であった。

2024年上半期は、プロジェクトの一部分が来期へシフトする事もあり、重要の踊り場である。

当部品は、5G向け、また次世代通信規格の設備投資の継続が予想され、長期的には、Be-Cu需要は継続する事が見込まれる。

以上、代表的な用途に関して市場概況を述べたが、総括するとBe-Cu合金需要は、2023年低調に推移、2024年上半期も、用途による凹凸はあるも、全体では大きな伸長が無かった期間となった。

2024年下半期、また2025年以降の需要を地域別にみると、当面は中国をBe-Cuの主力市場と位置付け、日本は大きな伸びはなくも堅調な需要を維持、インド、アセアン地域での需要拡大が見込まれる。

更なる需要創出のため、カーボンニュートラルやデジタルインフラ関連等、伸長分野における提案型用途開発・顧客開拓を進めて行く。

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。 ・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済...

活動概要

・化学物質の審査及び製造等規制に関する法律(化審法)を見直し、2020年までに国内の化学物質のリスク評価と管理を実現する体系の構築が進められていますが、これを含めEUの拡大RoHS指令の検討や関連事象について、経済産業省等からの情報収集を図りました。
・特定化学物質障害予防規則等の改正について、経済産業省及び厚生労働省並びに関係団体からの情報収集を行いました。
・経済産業省情報通信機器課が主催する「改正RoHS関連工業会合同勉強会」に関し、情報収集を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1960年代
金属ベリリウム・ベリリウム銅製造(販売)開始
1970年代
原子力産業用材料へのアプローチ
1980年代
通信機器分野のほか、家電、電子機器、自動車部品などの新分野での需要の増加
1950年代
1955:ベリリウムの製造研究着手(日本碍子、三徳金属工業、横沢化学工業)
1955:三徳金属と横沢化学のベリリウム事業
1956:ベリリウム抽出
1975:終了 (日本碍子)
1958:金属ベリリウム、ベリリウム銅母合金の生産 (日本碍子)
1960年代
1960:協会にベリリウム部会設置
1961:銅母合金委員会、分析委員会発足
1962:ベリリウム銅鋳造金型の生産(圧力鋳造・精密鋳造)
2003:終了 (日本碍子)
1980年代
1984:展伸圧延事業開始
1920年代
1927:Berylium Corp.(Berylco)
1960年代
1968:Kawecki Berylco Ind.(KBI)
1970年代
1971:Brush Wellman Inc.
1978:Cabot Corp.
1980年代
1986:NGK Metals Corp.
1940年代
1940年代前半の大戦中に米国で軍需向け合金用途が急増
1950年代
1950年代前半、朝鮮戦争特需で生産急増
1970年代
米IBM向けSLT(Solid Logic Technology)コネクターにベリリウム銅が適用→ベリ銅事業の基盤醸成
原研、材料試験炉(JMTR)用に金属ベリリウム反射体を納入
海底ケーブル用中継筺体(ベリ銅)納入(NGK)
スピーカー用金属ベリリウム振動版開発(NGK)
原子力用金属ベリリウム枠を原研(JMTR)に納入(NGK)
1990年代
海底光通信用筺体を納入(NGK)
放射光施設(Spring-8)のビームラインにベリリウム使用

会員企業