一般社団法人新金属協会

シリコン部会

業界業況

                          1.2025年の実績 1-1)2025年の世界半導体市場は、拡大するAI需要に伴いメモリー製品やGPUなどのロジック製品分野では著しく成長を示し、半導体市場全体を牽引したものの、一方でAI関連以外の領域では自動車用途も含めて低調に終わるなど、用途に...

業界業況

                         

1.2025年の実績

1-1)2025年の世界半導体市場は、拡大するAI需要に伴いメモリー製品やGPUなどのロジック製品分野では著しく成長を示し、半導体市場全体を牽引したものの、一方でAI関連以外の領域では自動車用途も含めて低調に終わるなど、用途による二極化が顕著であった。

WSTS統計によれば、2025年の金額ベースの市場規模は前年比26%増の7,917億ドルと過去最高を更新したものの、シリコンウエーハ出荷面積と相関があるIC半導体出荷個数については前年比6%増の3,701億個に留まった。

1-2)2025年の世界シリコンウエーハ市場は、IC半導体出荷個数同様に緩やかな回復を示した。SEMI統計によると、2025年の半導体用シリコンウエーハ出荷面積は前年比6%増の130億平方インチとなるも、出荷金額は前年比1%減の114億ドルと伸び悩み、1平方インチ当りの平均単価は前年比7%減の0.88ドルと落ち込んだ。

1-3)当部会集計の国内高純度シリコン統計によれば、2025年の国内単結晶生産量は、シリコンウエーハ市場と同様に年間では前年比6%増の10,001トンであった。

国内単結晶の販売量についても、前年比7%増の11,106トンであった。海外向けが前年比6%増の7,529トンであり、国内向けは前年比9%増の3,577トンとなった。また、輸出比率は前年と同等の68%であった。

2.2026年の見通し

2-1)2026年の半導体市場は引き続きデータセンター投資が牽引役になると思われ、2025年までと同様にメモリー製品とロジック製品で高い成長を示すと期待されているものの、地政学的リスクなどの影響もあり、AI関連以外の分野では不透明な状況が続くと思われる。

2025年秋季WSTS予測によれば、2026年の半導体市場は前年比23%増の9,755億ドルまで成長するものと予想されている。地域別では、市場の5割以上を占めるアジア地域が前年比20%増、3割以上を占めるアメリカが33%増と見込まれている。

また、IC製品別では、生成AI需要を背景にIC市場の3割以上を占めるメモリーが前年比32%増、4割以上を占めるロジックが前年比30%増と見込まれている。

2-2)当部会ではWSTSや各種予測も踏まえ、シリコンウエーハ市場は25年に引き続き2026年も緩やかな成長局面が継続するものと予想する。

2026年の国内単結晶生産量は前年比8%増の10,802トンと見込んでいる。

同様に、国内単結晶販売量においても前年比8%増の11,995トンを見込んでおり、内訳として内需は3,863トン、輸出は8,132トンと予想する。

更に多結晶需要についても、半導体向けシリコンウエーハ需要同様、2026年は緩やかな成長を想定している。

3.今後の課題

シリコン業界を取り巻く事業環境は米中貿易摩擦に代表される地政学的リスクの顕在化や生成AI需要の更なる拡大等に伴う極限までの半導体微細化進展など、様々な需要構造変化が続いている。これらの変化に加え、国内固有の懸念事項として世界的に割高な電力料金や燃料費の問題も挙げられる。

シリコン部会加盟各社は最先端半導体対応の為の品質の更なる向上や生産性向上及び合理化による不断のコスト低減に取り組んでおり、更には環境負荷軽減に向けたパワー半導体需要にも積極的に対応していく所存である。

〔今後のシリコン業界の課題〕

①需要構造変化と品質高度化への対応

1)最先端デバイスの高精度要求への対応

2)環境・省エネルギー用パワー半導体への対応

3)生産性向上と不断のコスト低減

②世界的に割高な国内電力料金への対応

③拡大する半導体市場への安定供給

④顕在化する地政学的リスクに対応したサプライチェーンの多岐化・安定化

活動概要

・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。 ・2025年11月、経済産業省金属課及び情報産業課、貿易経済安全保障局技術調査室とシリコン部会員各社トップの懇談会を開催しました。 ・2025年11月の記者会見は、ウェブ形式で開催し、売上高等について説明するととも...

活動概要

・シリコン部会では、業界共通課題の検討、関係官庁・団体等の動向に対する意見交換を行いました。
・2025年11月、経済産業省金属課及び情報産業課、貿易経済安全保障局技術調査室とシリコン部会員各社トップの懇談会を開催しました。
・2025年11月の記者会見は、ウェブ形式で開催し、売上高等について説明するとともに、2026年3月に、記者、アナリストに対し、生産量、販売量等の報告とシリコン業界の現況について発表を行いました。記者会見と発表の内容は協会ホームページで公開しました。
・2025年11月に経済産業省金属課及び情報産業課と情報交換会を開催し、産業政策、業界動向について意見交換しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するため議論を行い、発信内容を検討しました。
・学会等からの講演依頼等へ積極的に対応しました。

年表

1950年代
長船氏(NEC)がBELL研から帰国後、
電気通信研究所でシリコンの研究スタート
当時海外品のみ、国産化の要望が高まる
1960年代
半導体シリコンデバイスの時代へ(LSIの始まり)
内需・輸出ともに増大
1969:日立のPower Trを使ったカラーテレビが爆発的に売れる
1970年代
トランジスターテレビの普及により家電用半導体が急伸
NECが九州日電、東芝が大分に進出、日立が高崎に新工場
1971(S46)の不況後、1972〜74は好況
日本半導体で世界に躍進
日本、メモリで躍進
1971:ニクソンショックの影響で為替・輸出環境が大きく変化
1972:この頃、電卓がブームに
1973:オイルショック
1974:オイルショックの影響で半導体需要も調整局面(~1975)
1976:日立16K生産開始
1979:64K量産
1980年代
NEDOとJDP、太陽電池プロジェクト開始
NEDO報告書でシリコンの需要増を展望
NECの4→6インチ化を皮切りに、日本のデバイスメーカー6インチ化を進める
1980:NEC64K量産化
1981:64K一斉量産化
1988:1M DRAMで東芝が圧勝
1990年代
パソコン、携帯電話等、パーソナルユースの増大
1996〜98:日本半導体の構造転換が始まる(DRAMからSystem LSI(1999)に、IDMからファンドリー優位に)
台湾がERSOを作り、日本を模倣して半導体に力を入れる
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
2000年代
半導体の生産が韓国東南アジアにシフト
電子製品が産業用からパーソナル(民主)化で低価格化志向が顕著になる→材料への値下げ要求となっている
2007:東芝セラミックス、MBOにより東芝グループより独立しコバレントマテリアル発足
半導体デバイスメーカーの寡占化
半導体生産は韓国、中国への生産シフトが予想される
微細化技術の限界で、大口径化ないし材料コストへの要求が厳しくなる
2007:三菱マテリアル、三菱マテリアルポリシリコンを吸収合併
2007: 初代Iphone発売
2008:リーマンショック
2010年代
スマートフォン・タブレットが半導体需要の主流となる
トランジスタ構造がプレーナ型から3次元化(FinFET)へ
液晶、太陽電池の大量生産、安価販売など中国企業の躍進(先進国の関連産業からの撤退)
2010:Renesas Electronics発足、日本のSoC・MCU再編が一層進む
2011:東日本大震災で日本の材料・部材供給の重要性が世界的に再認識される
2012:Elpidaが経営破綻、日本のメモリ産業の後退が鮮明化、DRAMは韓国・米国勢へ
2015:「中国製造2025」発表、中国が高付加価値製造業の育成強化を開始
2015-AI向け計算需要が立ち上がりNVIDIAなどAIチップ関連企業が注目され始める
2017-数nm世代、EUV導入準備が進み先端投資への集中加速
2018:中国企業WingtechによるNexperia買収
2018-米中摩擦やHuawei問題を機に半導体が経済安全保障・輸出管理の対象へ
2020年代前半
コロナ禍で需要急変と物流寸断が重なり世界的な半導体不足が発生
先端品は微細化に加えCoWoS等先端パッケージ゙、HBM、サプライチェーン冗長化拡大
2021-世界各国で産業政策の転換、補助金・税制優遇で国内生産回帰と供給網再構築が加速
2022:日本でRapidus設立
2023-TSMC熊本(JASM)を軸に成熟ノードの国内供給力強化と材料・装置・自動車との連携再構築摸索
2020年代後半
2025:生成AIが半導体需要を牽引。後工程の重要性が一層高まる
2025:世界各国の補助金政策と輸出規制の常態化、半導体は戦略物資
2025:AIデータセンター向け需要がロジック・メモリ双方を押し上げる
2025:主要DRAMメーカーのHBMへの生産配分シフトにより世界的に汎用DRAM不足へ
2025:Nexperia問題を代表とする世界的な自国主義化・友好国との協調化の一層の加速
2026:アメリカのイラン侵攻、石油由来製品、ヘリウム等の供給不安
2026:AIデータセンター、電力制約、省電力半導体、パワー半導体、先端パッケージへの需要が継続拡大
1950年代
ゲルマニウム素子からシリコンデバイスへの転換→シリコンビジネスとして成立
長船氏、ソニー等の要望を受け半導体シリコンの製造に取りかかる→各社本格的生産体制へ
1970年代
日本での地盤確立→世界を視野に入れたビジネスへ
アメリカ市場への進出
高品質シリコンウエハーの基礎確立日本メーカー海外販売に注力し出す
日本のデバイスメーカーとの技術交流を通じ、デバイス留まりへのシリコン品質のポイント習得、品質で優位性築く
1980年代
日本の半導体デバイスメーカーの躍進に合わせ、日本のシリコンメーカー成長
世界に先駆けて、日本で大口径化の動きが出、日本が最先端基地となる
大口径化、ビジネスモデル(日本の先行投資型、アメリカの単年度収益主義)、デバイス特性に合わせたシリコン品質の作り込みで日本優位が確定
1983〜84:シリコン多結晶が逼迫各社ウエハー増産
1990年代
Seleteがスタート:300mmウエハーの品質評価を実施
J300の設立と活動:SEMATECH、SEMIと連携し、300mmの事前標準化を推進
300mm工場が本格稼働
日本のシリコン各社、グローバル展開が効果を上げ、8インチで技術・販売・生産ともに優位を維持
300mm時代への対応としてシリコン各社によるシッピングボックス標準化・共通化の取り組み実施
200mmで、IBM、Intel、東芝、三星、TSMC、Hynix、Siemens等の先行デバイスメーカーへの納入でも日本メーカー先行
台湾、シンガポールの半導体ビジネスの胎動期から積極的に販売・技術サービス実施。地盤を確保
1994:世界的にシリコンサミットが開催され、次世代ウエハーを300mmに決定
1997〜98:多結晶逼迫
2000年代
300mm時代を迎え、シリコンメーカーの投資負担が巨額化
多結晶シリコンは半導体用途に加えて、太陽電池用原料としての需要が急拡大
450mmウエハー構想の議論が始まる
2005-:90nm~65nm世代量産拡大で300mmウエハー需要急拡大
2008-:金融危機(リーマンショック)で半導体需要急減、シリコン業界も大きな調整局面へ
2010年代
スマートフォン時代が本格化し、300mm高品質ウェハー需要が高まる
シリコン業界の競争軸は「量」から先端品を安定量量出来る「技術力」へ
450mmは投資採算の厳しさから量産には進まず、300mmの高度化の方向性が決定
2011:東日本大震災で日本の材料・部材供給の重要性が世界的に再認識される
2016:中国半導体シリコンウエハーメーカーESWIN, NSIG設立
2017-半導体好況、ウエハー長期契約や能力確保の動きが強まる
2018-2019:米中摩擦顕在化、シリコン業界も地政学・供給網分断リスクが意識され始める
2019-先端品では日本メーカー優位が続くも、中国勢の育成進行し成熟品では競争環境が変化し始める
2020年代前半
コロナ禍で需要構造急変、PC,サーバー、通信向けが伸びる一方、供給網が混乱
AI向け先端300mm需要は強く、成熟品は弱い二極化が鮮明となる
2021-世界的な半導体不足で、ウエハー業界でも能力増強投資が進む
2023:中国政府のウエハー生産への国家的支援強化へ
2023:コロナ禍収束、半導体在庫調整が本格化、シリコンウエハー需要が鈍化
2024:年後半からAI・データセンタ(DC)用途が牽引役となり、緩やかに回復が始まる
2020年代後半
2025:AI向け先端300mm需要は強く、成熟品は弱い二極化が継続
2026:AI関連需要の一層の高まりとDC省電力化要求からパワー系デバイス需要増、200mm以下ウエハーの要求改善へ
2026:アメリカのイラン侵攻、石油由来製品、ヘリウム等の供給不安⇒シリコン業界への間接的影響懸念
1950年代
大阪チタニウム、NECから製造依頼を受け、製造研究スタート
その後シーメンスからの技術導入により製造スタート(1960)
1954:東海電極、東北大学の小野教授の研究成果を引き継ぎ、通産の補助金を受けて1960年頃より設備化、本格操業(1961)
1957:信越化学、NECから高純度シリコン製造の要請を受ける
1959:日窒電子化学、野田工場で製造開始(ソニーから話があり研究スタート)
1959:日本電子金属、ペシネ技術導入でポリエ工場建設(1960)
1960年代
1960:小松製作所、石塚氏のシリコン技術で小松電子金属設立
1967:信越化学、ダウコーニングと合弁で、信越半導体を設立
1967:高純度シリコン設立
1970年代
1970:三菱モンサント化成、日本国内に参入(サントミラー)
1973:九州小松電子、九州電子金属、信越マレーシア
1974:三菱金属、チッソ電子化学を買収し、東洋シリコンを設立
1977:東芝セラミックス、操業開始
1978:東洋シリコン、日本電子金属を合併し、日本シリコンを設立
1980年代
徳山曹達(現・トクヤマ)、多結晶に進出、1984:工場完成 鉄鋼各社、シリコンビジネスに参入
1985:新日本製鉄がシリコン事業に参入し、子会社としてニッテツ電子を設立
1990年代
各社統廃合、合理化に動く
各社300mmパイロットラインを設置 信越半導体、台湾に進出(1997:生産開始)
コマツ電子金属、台プラと合弁で台湾進出(1995:会社設立、99:年生産開始)
1991:日本シリコン、三菱マテリアルシリコンに社名変更
1993:大阪チタニウム、住友シチックスに社名変更
1996:シリコン業界協力し、次世代シリコン製造技術の確立のためのSSiを設立(〜2001)
1997:高純度シリコン、三菱マテリアルポリシリコンに社名変更
1999:300mm事業化でSUMCO設立
2000年代
経営合理化(工場整理、人員削減、生産集約化)が進む
2003:日本のシリコンメーカーが市場の65%を占める
2003:新日本製鉄がシリコン事業から撤退。ニッテツ電子はワッカー社へ売却されシルトロニック・ジャパンに社名変更
2006:コマツ電子金属のSUMCOの完全子会社化
2007:三菱マテリアル、三菱マテリアルポリシリコンを吸収合併
2007:東芝セラミックス、MBOにより東芝グループより独立しコバレントマテリアル発足
2010年代
2010:コバレントマテリアルのシリコンウェーハ部門をコバレントシリコンとして分社化
2012:シルトロニック・ジャパン国内工場閉鎖。シリコンウェーハの輸入・販売を中心とした事業体制へ
2012:コバレントシリコンが台湾のSino-American Silicon Productsグループへ事業譲渡
2013:コバレントシリコンがグローバルウェーハズ・ジャパンに社名変更
2017:エム・イー・エム・シーがグローバルウェーハズ・ジャパンの関係会社へ
2018:大阪チタニウムテクノロジーズ、ポリシリコン製造を終了
2020年代前半
2023:三菱マテリアルが多結晶シリコン事業を分割し、同社が設立した高純度シリコンに承継させた上でSUMCOに譲渡
2024:トクヤマ、ベトナムに進出
2020年代後半
2025:信越半導体親会社の信越化学工業による三益半導体工業完全子会社化
2025:トクヤマ、OCIテラサス社と合弁でマレーシアに進出
2026:日本のシリコンメーカーが市場の50%以上を占めるも中国メーカーシェア拡大(推定シェア10~20%)

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