一般社団法人新金属協会

ターゲット部会

業界業況

【半導体用ターゲット】 2024年の半導体市場を総括すると、2019年以来となるマイナス成長となった2023年から一転し、市場全体は前年からのプラス成長となった。2023年というのは、前回記載した、コロナ特需の終焉、地政学的懸念、および世界的なインフレーションの進行を要因とする需要の減退に加えて、そ...

業界業況

【半導体用ターゲット】

2024年の半導体市場を総括すると、2019年以来となるマイナス成長となった2023年から一転し、市場全体は前年からのプラス成長となった。2023年というのは、前回記載した、コロナ特需の終焉、地政学的懸念、および世界的なインフレーションの進行を要因とする需要の減退に加えて、それによるサプライチェーンの在庫調整も市場の下押し要因として大きかった年である。

2024年が前年からのプラス成長となった要因について、在庫調整の進展に加え、AI関連投資に伴って需要が拡大している高性能チップの需要が伸びたことで半導体市場を牽引したとみており、実際WSTS(世界半導体市場統計)は、2024年秋季予測において、2024年は前年比+19.0%のプラス成長とした。一方、同時にWSTSでは、前年好調であった自動車用途が低迷しているほか、産業用途などの不振によって、これらのアプリケーションに用いられるアナログ、ディスクリート、センサーといった製品においてマイナス成長としている。

2025年は、生成AI関連でのデータセンター向け投資の継続に加え、PCやスマホの買い替えサイクルも相まって緩やかながら端末の増加も期待されている。上記WSTSでは、インフレの減速が前提にはなるが、生成AI関連に加えて電子機器全般の需要が拡大することで、メモリおよびロジック以外の製品でもプラス成長に回帰すると発表した。2025年は前年比+13.1%とし、市場全体でも過去最高であった2022年を超える予測としている。

半導体用ターゲットとしても、以上の市場状況と相関する形で、2025年の拡大を予測している。

【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】

各調査機関によると、HDDの年間合計出荷台数は、2024年1億2,477万台(前年比3.5%増)から2025年1億2,650万台(同1.4%増)に微増で推移すると予想される。HDDは、2025年もデータセンター向けで成長が見込まれるものの、ノート・デスクトップPC、外付HDD等の2.5インチ及び3.5インチ需要の減少が続き、HDD全体の出荷台数は緩やかな成長に留まる見込みである。

一方、HDDの中でデータセンター向けニアラインHDDの出荷台数(全体の5-6割程度)は、GoogleやAmazonといったハイパースケーラーによる生成AI関連及びデータセンター自体への旺盛な投資により、2024年6,312万台(前年比41.8%)から2025年7,300万台(同15.7%増)と引き続き堅調な成長が予想され、本用途によるターゲット需要の拡大が期待されている。

また、大容量HDDを実現する新記録方式であるHAMR(熱アシスト磁気記録)HDDに関しても、2024年末に大手クラウドサービスプロバイダーの認定テストが完了したことから、今後次第に需要が立ち上がることが見込まれる。

【FPD用ターゲット】

2024年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、パリ五輪、サッカーのユーロ2024等の大型スポーツイベントの観戦需要が予想を下回り、また、中国の2大ECイベントの1つ「618」セールでのTV販売も芳しくなく、需要の盛り上がりに欠けており、パネルメーカーも、需要減に応じて、稼働率を引き下げ、生産調整を行っていた事により、出荷枚数は前年同期と横ばいの水準となった。

2024年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷は、中国政府がTVを含む家電等の買い換え補助金政策を展開し始めた他、欧米の年末商戦販売に期待を寄せたTVブランド世界大手が積極的な販促を行った事により、パネル出荷枚数は前年同期より増加し、通年でも出荷枚数は前年同期より増加となり、市場の回復をみせた。今後は25年も中国政府の家電等の買い換え補助金政策が継続した事に伴う、需要の増加や、米国の関税引き上げ政策を受けて、TVブランドでは、北米市場において在庫の確保を加速しており、当面出荷数量の増加が見込まれる。

中小型パネルに関しては、スマホブランド大手各社が値引きによる販促を積極的に展開した事で、中国や米国等の主要市場で販売需要が小幅な伸びを回復し、スマホ用パネル出荷は通年で前年同期より増加となった。また、ノートPC用パネル出荷は、地政学リスクやインフレの継続により末端市場の需要回復は予想より緩慢ではあるが、それでもコンシューマ向け及び教育市場向けエントリー機種の買い替え需要が市場を支え、パネル出荷枚数は前年同期より増加の結果となった。今後は米国が24年9月に大幅な値下げをしたことで資金の流動性が向上した事や、米国の大統領選挙が終了した事により、米国政局の変動性が減少した事や、マイクロソフト社の「Windows 10」のサポート終了などを背景に商用向けノートPCの需要の増加が期待される。

2024年の透明導電膜用ITOターゲット需要は、TVやノートPCなど末端製品の需要の回復は見られたが、パネルメーカー各社は収益性改善の為に、稼働率の調整を行い、価格上昇を図っている事で、ITOターゲット需要は、前年同期と横ばいの結果となった。ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)はLow価格で1月の230ドル/kg近辺から4月下旬頃より相場が上昇し、5月には400ドル/kg近くまでつけていたが、下半期(7~12月)は緩やかな相場の下落が見られ、足元Low価格で340ドル/kg近辺をつけている。今後は、末端市場の緩やかな回復に伴い、ターゲット需要も堅調に推移することが期待されるが、パネルメーカーは収益性を重視し、生産調整や工場閉鎖を行う懸念もあり、先行きは慎重な見通しとなる。

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
1959:キルビー(IT)特許
1959:プレーナ特許
1960年代
1960:MOFET発明
1963:CMOSトランジスター
1966:AC型PDP発表
1970年代
1971:TN-LCD発表
1973:液晶時計、電卓発表
1977:最初のパソコン
1979:aSi-TFT発表
1980年代
1984:STN-LCD実用化
1986:松下電器、TFT生産開始
1987:コダック社、有機EL基本特許
1989:松下電器、TFT量産開始
1990年代
1993:PDPテレビ量産開始
1997:フルカラー有機ELディスプレイ発表
2000年代
LTPS量産技術の確立
1970年代
1970年代TN液晶:電卓、時計
1980年代
1980年代STN液晶:携帯情報機器
1983:ITOターゲット販売開始
1986:密度70%アップITO
1988:低重圧スパッタ法開発により、一挙にITOターゲットが普及
1989:密度85%アップITO
1990年代
1990年代aSi-TFT液晶:パーソナルコンピュータ
1991:密度90%アップITO
1994:密度95%アップITO
1998:密度98%アップITO
2000年代
2000年代aSi-TFT/LTPS、高温ポリSi TFT:TV、携帯電話、PDA
1950年代
1956:最初のHDD(IBM)
1960年代
1960:レーザーの発明(Meiman)
1970年代
1970:Hunt磁気抵抗効果型ヘッドの発明
1972:レーザーディスク発表(Philips)
1978:レーザーディスク発売(日米)
1979:コンパクトディスク(CD)開発
19800年代
1985:CD-ROM普及
1988:MOディスク発売3.5インチタイプ容量
1990年代
1990:DVD用半導体レーザー開発1990:追記型 CD-R発売
1991:GMRヘッド材料の提案
1992:MD発売(ソニー)
1995:DVD規格統一
1996:DVDプレーヤー発売
1997:書換型CD-RW発売
1998:書換型DVD発売(松下)
2000年代
2000:青色半導体レーザー開発
2000:MDLP発売(ソニー)
2002:高記録密度Blue-ray Disc HD DVD規格成立
2003:ブルーレイレコーダー発売(ソニー)
2004:Hi-MD発売(ソニー)

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