一般社団法人新金属協会

ターゲット部会

業界業況

【半導体用ターゲット】 2023年の半導体市場は、世界的なインフレによる利上げや地政学リスクの高まりといった不透明な世情の継続により、個人消費と企業による設備投資が抑えられ、全体的に低調であった。生成AI向けの需要が伸長しつつあり、自動車関連向けも減退を始めつつも他用途向けと比較すれば好調という状況...

業界業況

【半導体用ターゲット】

2023年の半導体市場は、世界的なインフレによる利上げや地政学リスクの高まりといった不透明な世情の継続により、個人消費と企業による設備投資が抑えられ、全体的に低調であった。生成AI向けの需要が伸長しつつあり、自動車関連向けも減退を始めつつも他用途向けと比較すれば好調という状況ではあったが、市場全体を支えるには不十分で、結果として、22年比-8.2%となった。

2024年上半期(1月~6月)は、前半は2023年からの低調な市場が継続したものの、後半はAI向けの拡大に伴い先端ロジックが本格的な回復を見せ、次いでメモリも漸く底を脱し回復に転じたものの、非先端ロジックなどの他用途や自動車関連向けも低調に推移したため、全体としては緩やかな回復に留まった。

2024年の半導体市場について、WSTSは2023年比+16.0%と予測している。2023年から市場の牽引役となった生成AI関連の寄与が引き続き大きく、実際に、生成AIに使用されるロジック、特に先端ノードとHBMを中心としたDRAM含めたメモリの市場は下半期も好調とみており、WSTSはそれぞれの市場規模を2023年比+10.7%、+76.8%と予測している。一方で、それ以外の用途に関してはマイナス成長もしくは微増となっている。

また、9月から新たにアンチモンが中国からの輸出規制の対象となるなど、今後とも地政学リスクには注視が必要な状況が継続している。

【HDD(ハードディスクドライブ)用ターゲット】

各調査機関によると、HDDの出荷台数は、2023年約1億2,230万台(前年比29.0%減)から2024年1億2,470万台(同2%増)と回復に転じると予想される。HDDは、2024年に入ってからデータセンター向けで回復が見られるものの、ノート・デスクトップPC、外付HDD等の2.5インチ及び3.5インチ需要の減少は続き、2024年1-6月期の全体での出荷台数は緩やかな回復となる見込み。

HDD用ターゲット需要を牽引するデータセンター向けニアラインHDDの出荷台数は、2023年約3,940万台(前年比36.0%減)から2024年5,430万台(同37.8%増)に増加に転じると予想される。これは、2022年後半から続くニアライン市場での過剰在庫が2023年末に正常化したことが要因である。正常化には、GoogleやAmazonといったハイパースケーラーにおいて、生成AI関連への投資が昨年から引き続き優先されているものの、一般サーバー向けのHDDへの投資が再開されたことも寄与している模様である。

【FPD用ターゲット】

2024年上半期(1~6月)のTV用パネル出荷は、紅海の物流問題の影響の回避や、パリ五輪等の大型スポーツイベントの観戦需要の期待により、TVブランドは在庫レベルの引き上げを行ったが、一方で、パネルメーカーは稼働率を管理し、パネル価格の値上がりを図った為、出荷枚数は前年同期と横ばいの水準となった。

2024年下半期(7~12月)のTV用パネル出荷は、中国の大型ECイベントの「618セール」の販売が前年より下回ったことや、パリ五輪やサッカーのユーロ2024等の大型スポーツイベントの観戦需要が予想を下回ったこと等、消費者の末端市場に対する購買意欲が弱いことから、TVブランドはパネル調達の拡大を抑え、パネルメーカーも需要の落ち込みを意識しており、出荷枚数は弱含む展開が見通される。

中小型パネルに関しては、上半期(1~6月)は2023年4~6月にコロナ対策が全面的に撤廃されて戸外活動や旅行が復活したことで、スマホ用パネル出荷も回復軌道に乗り、また、インフレ圧力の緩和で世界経済の緩やかな回復が進む中で、中国市場ではブランド大手各社が大規模な値引きによる販促を積極的に展開し、これを背景に、スマホ販売需要に回復の兆しが見え、スマホ用パネル出荷は前年同期より増加の結果となった。また、ノートPC用パネル出荷は、2025年10月のWindows 10のサポート終了に伴う買い替え需要や教育向け需要増により、パネル出荷枚数は前年同期より増加の結果となった。

2024年上半期(1~6月)の透明導電膜用ITOターゲット需要は、TVなど末端製品の需要回復の期待により、2024年より一部品種でパネル価格が徐々に値上がりし、ITOターゲット需要は回復の兆しが見られた為、前年同期より増加の結果となった。ITOの主原料であるインジウムの相場は、上半期(1~6月)は1月頭にLow価格で230ドル/kg近辺を推移していたが、4月後半頃より相場は上昇し、5月下旬頃には390ドル/kg近辺にまで到達し、下半期(7~12月)も相場は堅調であり、足元Low価格で370ドル/kg近辺をつけている。2024年下半期(7~12月)は、TVの需要の落ち込みから、今後の透明導電膜用ITOターゲット需要は弱含む展開が予想される。

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。 ・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安...

活動概要

・協会会員外のターゲットメーカーにも広く調査協力を呼びかけ、ターゲットの市場規模調査を実施し、業界動向についての基礎資料の充実を図りました。
・ITO等の取り扱い作業による健康障害防止策に関する技術指針や特定化学物質障害予防規則等の改正について、情報収集を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に当たり、新規対象業種として統計類の整備、解析、ハザードの抽出、安全対策等に関する調査・提言を行いました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

1955年代
1959:キルビー(IT)特許
1959:プレーナ特許
1960年代
1960:MOFET発明
1963:CMOSトランジスター
1966:AC型PDP発表
1970年代
1971:TN-LCD発表
1973:液晶時計、電卓発表
1977:最初のパソコン
1979:aSi-TFT発表
1980年代
1984:STN-LCD実用化
1986:松下電器、TFT生産開始
1987:コダック社、有機EL基本特許
1989:松下電器、TFT量産開始
1990年代
1993:PDPテレビ量産開始
1997:フルカラー有機ELディスプレイ発表
2000年代
LTPS量産技術の確立
1970年代
1970年代TN液晶:電卓、時計
1980年代
1980年代STN液晶:携帯情報機器
1983:ITOターゲット販売開始
1986:密度70%アップITO
1988:低重圧スパッタ法開発により、一挙にITOターゲットが普及
1989:密度85%アップITO
1990年代
1990年代aSi-TFT液晶:パーソナルコンピュータ
1991:密度90%アップITO
1994:密度95%アップITO
1998:密度98%アップITO
2000年代
2000年代aSi-TFT/LTPS、高温ポリSi TFT:TV、携帯電話、PDA
1950年代
1956:最初のHDD(IBM)
1960年代
1960:レーザーの発明(Meiman)
1970年代
1970:Hunt磁気抵抗効果型ヘッドの発明
1972:レーザーディスク発表(Philips)
1978:レーザーディスク発売(日米)
1979:コンパクトディスク(CD)開発
19800年代
1985:CD-ROM普及
1988:MOディスク発売3.5インチタイプ容量
1990年代
1990:DVD用半導体レーザー開発1990:追記型 CD-R発売
1991:GMRヘッド材料の提案
1992:MD発売(ソニー)
1995:DVD規格統一
1996:DVDプレーヤー発売
1997:書換型CD-RW発売
1998:書換型DVD発売(松下)
2000年代
2000:青色半導体レーザー開発
2000:MDLP発売(ソニー)
2002:高記録密度Blue-ray Disc HD DVD規格成立
2003:ブルーレイレコーダー発売(ソニー)
2004:Hi-MD発売(ソニー)

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