1.磁石 2024年1月から6月までの全磁性材原料の値動きは下降トレンド。昨年からの中国経済失速の影響が回復せず、酸化Ndは年初USD 58.8/kgから始まり6月には一時USD 51.1/kgまで下落(下落幅14.9%)。酸化DyはUSD 0.3/kgからUSD 0.26/ kgまで下落(下落幅1...
1.磁石
2024年1月から6月までの全磁性材原料の値動きは下降トレンド。昨年からの中国経済失速の影響が回復せず、酸化Ndは年初USD 58.8/kgから始まり6月には一時USD 51.1/kgまで下落(下落幅14.9%)。酸化DyはUSD 0.3/kgからUSD 0.26/ kgまで下落(下落幅15.6%)。酸化TbはUSD 0.9/kgからUSD 0.7/kgまで下落した(下落幅18.4%)。
中国の採掘割当量とミャンマーからの輸入鉱石原料の増加が更に市況を下落させた。
2024年1月から6月までのミャンマーから中国への輸入量は、2023年同期間の約23,300トン(REO)より約23,000トン(REO)と、昨年よりも約2%減る見込みだが、過去4年間の通期で比べると増加傾向(2022年通期実績14,208トン(REO))。
米国大統領は5月に戦略的分野での301条関税の対象品目拡大や関税率の引き上げをUSTRに指示した。8月1日より中国からの輸入物に関税がかかり、EV車の関税は25%から100%へと増加。それを受け6月に中国国務院が「レアアース管理条例」を公布。
レアアースが国家に帰属し、政府がレアアース産業の発展を監督すると明記され、トレーサビリティー(生産履歴の追跡)システムを構築し、採掘、製錬、分離、輸出に携わる企業に対し、製品フローの記録を同システムに入力するよう義務付けた。10月1日より施行予定。供給網全体の管理を強める狙いから「レアアース管理条例」にて輸出管理の強化を発表したが、実態は従来と大きく変わらないとの見解。
中国の2023年NdFeB生産量実績は約246,000トン。また2024年生産量は推測で260,000トン。主な用途と割合は自動車駆動モーター26.4%、自動車その他用途12.6%、風力発電6.4%、エアコン駆動モーター8.1%、電子・メカ部品14.0%。生産量は伸びているが、当初予想されていた数値に比べ伸びが鈍化した。
2.蛍光体2024年1~6月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年同期比で約15%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。水銀に関する国際条約により一般照明用蛍光ランプは2027年末までに製造終了することが決まっている。
2024年1~6月の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比で約0.5%減であった。オリンピック・パラリンピック特需は見られたが、コロナ収束後の市場縮小傾向を反転させるまでには至らなかった。個人がスマホ等で動画を視聴するスタイルの普及もあり若年層に「テレビ離れ」現象も見られる。
照明やディスプレイ用LEDにはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。
また有機ELなどレアアースを用いない新たな発光材料も浸透してきた。
この分野のレアアース需要は減少した。
3.セラミックコンデンサ
2024年1~6月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比18%増の5,120億個と回復基調の結果となった。
エレクトロニクス市場はモビリティやコンピュータ向けでは堅調な動きであった。また、スマートフォン向けも在庫調整からの回復、ITインフラ向けでの増加となった。
引き続き自動車向け需要は好調を推移しているため高位安定であるが、産業機器市場は回復基調ではあるものの大きく回復している状況とは言えない。
セラミックコンデンサでは脱レアアース化、小型化、生産者の現地生産等も重なりレアアースの使用量は低レベルが継続している状況である。
4.排ガス触媒
2024年1~6月の世界の自動車販売台数は、中国、北米、欧州の販売が好調に推移し、前年同期から微増となった。一方、コロナ下から回復基調にあった国内自動車生産台数と販売台数は、自動車メーカー各社の供給問題の影響により、前年同期比で生産台数は10%近い減少、販売台数は10%を上回る減少となった。
自動車生産の減少の影響を受けて、2024年1~6月の国内の自動車排気ガス浄化用触媒生産量は4,519トンと、前年同期の4,709トンから4%減少し、販売量については前年同期比で10%減となった。さらに触媒成分の貴金属価格が大幅に下がり販売単価が低下したことから、販売金額は前年同期比で56%と大きく減じた。
5.研磨材
液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2024年1~6月の需要は、昨年まで続いた低調な状況からパリオリンピック・パラリンピックやEUROサッカーなどのスポーツイベントによるテレビ用パネル需要の回復を見込む向きもあったが、総じて低調に推移したと見られる。一方、ハードディスク用ガラス基板向けは、データセンターなどの計画が後ろ倒しになど低調な状況が続いていたが、生成AIへの需要の高まりを受け下半期に向け徐々に動き出してきていると見られる。
・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に...
・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に協力しました。
・日本の希土類需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省金属課及び資源エネルギー庁鉱物資源課と情報・意見交換会を開催しました。
・中国が特恵関税対象国から卒業するに当たり、一部の加工用原材料品が課税対象品となることから、輸入関税非課税品の対象となるように折衝を開始しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。