一般社団法人新金属協会

希土類部会

業界業況

1.磁石  昨年11月に中国各社が2025年の生産割当数量に達して生産を停止したことに続き、今年1月6日には中国政府による日本向け軍民両用品の輸出許可申請強化が公布された。  さらに2月24日には、日本企業40社を対象とした日本向け輸出禁止および許可取得強化が公布され、これら一連の動きに加え投機的な...

業界業況

1.磁石

 昨年11月に中国各社が2025年の生産割当数量に達して生産を停止したことに続き、今年1月6日には中国政府による日本向け軍民両用品の輸出許可申請強化が公布された。

 さらに2月24日には、日本企業40社を対象とした日本向け輸出禁止および許可取得強化が公布され、これら一連の動きに加え投機的な要因も重なり、1月年初Nd酸化物USD 87.6/kgであった価格は、2月末にはUSD 135.4/kgまで急高騰。一方で、中国国内の景気後退を背景に、旧正月明けの3月からは2026年分の生産が開始されたことで需給が緩み、価格は3月末にかけてUSD 111.6/kgまで軟化。その後、4月20日には日中関係悪化の影響から一旦は Nd酸化物USD122.90/kg、Pr酸化物USD124.2/kg まで上昇したものの、5月以降は需要が閑散期に入るため、5月末には Nd酸化物USD111.80/kg、Pr酸化物 USD119.5/kg まで再び下落。6月に入ると価格は下げ止まり、中旬には中国政府よりレアアース工程廃材の管理強化規制が発表された。これにより、すべての廃材においてインボイス(送り状)がない取引が禁止されたため、磁性材の原料であるNd、Pr、Dyが一時的に供給不足となり、価格は上昇に転じた。結果として6月末には Nd酸化物USD120.6/kg、Pr酸化物USD 121.3/kg まで価格が回復したものの、市場ではこの上昇も一過性の動きにとどまるとの見方が強い。

 Nd酸化物は年初USD 87.6/kgから始まり6月末にはUSD 120.6/kgまで高騰(対年初+37.68%)。Tb酸化物は年初USD854/kgから6月末にはUSD938/kgまで上昇(対年初+9.84%)。Dy酸化物は年初USD 192/kgからUSD 205/ kgまでに留まった(対年初+6.77%)。

 2025年1月〜6月(2025年上期)と本年2026年1月〜6月(2026年上期)における世界のNdFeB(ネオジム・鉄・ホウ素)合金および磁石需要は、前年同期比で約7%〜9%の堅調な増加トレンド。

 2025年1〜6月期は「EVシフトの踊り場」などと言われ一時的な足踏みも見られたが、2026年1〜6月期はロボット・AI・エネルギー安全保障という新たなトリガーが重なり、NdFeB合金への世界需要は前年を大きく上回る強い推移を見せている。

2.蛍光体

 2026年1~6月の蛍光ランプ国内出荷個数は、前年同期比で15%減であった。LEDランプへの代替が進み、蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。また、国際条約により一般照明用蛍光ランプは2027年末までに製造終了することが決まっている。

 2026年1~6月の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比でほぼで横這いあった。有機EL、量子ドットディスプレイ、ミニLEDディスプレイ、多様な技術による大画面化が進む一方で、個人がスマホ等で動画を視聴するスタイルのいわゆる「テレビ離れ」現象も見られる。LED照明やディスプレイ用LEDにはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。この分野のレアアース需要は減少した。

3.セラミックコンデンサ

 2026年1~6月のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比約20%増の6,039億個と堅調に推移した結果となった。

 エレクトロニクス市場はメモリ需要のひっ迫や価格高騰の影響によりスマートフォンなどのICT関連の生産は昨年同期比で若干減少した。一方AIデータセンター向けHDD需要は堅調に推移した。また産業機械市場では設備投資が堅調に推移した。自動車産業向けには電装化、電動化、自動運転化の進展により需要は底堅い動きであった。

4.排ガス触媒

 2026年1~6月の世界の自動車販売台数は、前年同期からほぼ横ばいとなった。国内生産においては堅調に推移し、国内自動車生産台数は前年同期比で約3%増、販売台数は約2%増となった。

 2026年1~6月の国内の自動車排気ガス浄化用触媒生産量は4,192トンと、前年同期の4,228トンとほぼ同等であった(前年同期比99%)。販売量についても前年同期比で100%であった。販売金額は触媒に使用する貴金属価格の値上がりにより、前年同期比で137%と増加した。

5.研磨材

 液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2026年上期の需要は、堅調に推移した。液晶用ガラス基板は、2026年上期、各種スポーツイベント(サッカーワールドカップ・冬期オリンピック)もあり、堅調に推移したと見られる。一方、ハードディスク用ガラス基板は、2025年同様、AIサーバーなどの需要が堅調に伸びている様子であり、それに伴い需要も堅調に推移したと見られる。

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活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に...

活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に協力しました。
・日本の希土類需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省金属課及び資源エネルギー庁鉱物資源課と情報・意見交換会を開催しました。
・中国が特恵関税対象国から卒業するに当たり、一部の加工用原材料品が課税対象品となることから、輸入関税非課税品の対象となるように折衝を開始しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

18世紀
1794:レアアースの発見
19世紀
19C末:ガスマントル(トリウム、セリウム)が工業化
1940年代
1947:レアアース15元素すべて明らかになる
ブラジル、インド、アメリカでモナザイト鉱石の処理本格化
1950年代
1951:米Molycorp,Montain Pass操業開始
1952:IndianRareEarths、操業開始
1954:モナザイトの世界生産量1万トン
1956:米W.R Grace社、希土類生産開始
1957:中国で白雲鉱処理開始
1960年代
モナザイト鉱石の生産はブラジル、インド、アメリカ、南アフリカ、オーストラリア
アメリカでプラセオ黄の顔料が開発される
FCC触媒量産
1970年代
アラスカの天然ガス輸送パイプラインにミッシュメタル添加がブームに
超磁歪材料(TbDyFe)が開発される
1977:中国から日本へ希土類原料輸入開始
1980年代
1980:中国希土工業代表団来日。協会、阪大、関係者各社訪問
1981:中国でイオン吸着鉱開発
1985:希土類鉱石の世界生産量4万トン
1987:中国、希土類原料で世界一の生産国となる
1988:第1回日中レアアース交流会開催
1990年代
オーストラリアでモナザイトの公害問題が表面化
1992:ブラジル、希土類鉱石の処理中止
1993:中国、鄧小平氏が南順講話にて「中東有石油、中国有希土」と発言
1994:マレーシア、希土類の分離中止
1997:中国、希土類製品の輸出許可制度がスタート
2000年代
2000:希土類鉱石の生産量8.1万トン中国が85%を占める
2002:中国で希土類の鉱山開発、製錬分離事業への外国企業の投資が禁じられる
2004:中国、希土類鉱石生産量9万8,000トン
2005:中国、希土類製品の輸出に関し、増値税還付を廃止
希土類原料の価格上昇
希土類原料の中国依存度の問題
2010年代
2010:希土類鉱石の世界生産量13.3万トン 中国が98%を占める
2010:中国、希土類の輸出枠を大幅削減。希土類価格の高騰が始まる。価格は翌年夏にピークとなる
2010:尖閣諸島中国漁船衝突事件
2012:豪Lynasが、マレーシアでの希土類生産を開始する
2015:中国の輸出規制措置がWTO協定に違反するとして輸出枠を撤廃
2017:米MP Materialsが、倒産したモリコープから米国唯一の希土類鉱山「マウンテンパス」を買収し、再稼働を開始
2019:米中貿易摩擦が激化。レアアースが論点となる
2020年代
2020:希土類鉱石の世界生産量24万トン 中国が58%、米国16%、ミャンマー13%、豪9%
2020:中国、「輸出管理法」を施行。国家安全保障を理由とした規制の法的枠組みが整う
2023:中国、「希土類磁石(ネオジム磁石等)の製造技術」および「抽出・分離技術」の輸出を禁止
2023:米MP Materials、分離レアアース製造を再開
2024:中国、「希土類管理条例」を施行。レアアースを国家所有と明記し、採掘から輸出までを一元管理
2025:希土類鉱石の世界生産量39万トン 中国71%、米国12%、豪8%、ミャンマー7%等
2025:豪Lynas 豪州由来のレアアース鉱石をマレーシアで分離・精製して得られた重希土を輸出
2025:中国、Tb・Dyなど中重希土類7種に関連する品目の輸出管理を実施
1926年代
ライター石の生産開始
1940年代
アークカーボン用フッ化セシウム量産開始
1950年代
板ガラスの研磨に酸化希土(セリウム)が本格採用される
鉄鋼用ミッシュメタル量産開始
1960年代
1962:新金属早わかりシリーズ『レアアース』刊行(新金属協会)
日立、カラーテレビ「キドカラー」発売
Y、Euに蛍光体需要出る
酸化ランタンを添加した高屈折レンズが開発される
1970年代
セラミックコンデンサーに酸化ランタンが使用される
ソニー、ウォークマン発売
SmCo磁石の需要拡大
自動車三元触媒の登場。酸素センサーの開発(Ce、Y)
1980年代
1982:日本希土類学会創立
三波長蛍光ランプの普及(Y、Eu、Tb)始まる
ミノルタ、オートフォーカスα7000発売
住友特殊金属、NdFeB磁石を発表
世界的な超伝導フィーバー(Y)
1990年代
ニッケル水素電池が実用化
ソニー、ミニディスク発売(Tb、Dy)
自動車用の紫外線吸収ガラスにセリウムが使用される
1993:希土類磁石がフェライト磁石の販売額を抜く(1,767トン、488億円)
携帯電話が普及し始める
Windows95発売。
HDD向けネオジ磁石の需要拡大
トヨタ初代プリウス発売
2000年代
ランタン添加の高性能フェライト磁石普及
京都議定書批准による省エネ、環境問題から、モーター、電池の需要増大
【課題】燃料電池の開発、磁気冷凍の開発、コージェネデバイスの普及、希土類原料のリサイクル促進
2代目プリウスでハイブリッドカーが普及(ネオジ磁石、ニッケル水素電池の需要拡大)
フラットパネルディスプレイの普及(PDP、液晶)
2010年代
2013:昭和電工、Gaを含んだ低B組成で重希土類を大幅に削減したネオジム磁石を開発
2016:ホンダと大同特殊鋼が、重希土類(Dy、Tb)を使用しない「完全フリー磁石」をハイブリッド車用モーターに採用。
2016:ISO/TC298(希土類)設立
2018:トヨタ自動車が、ネオジム使用量を半減させ、LaやCeを活用する磁石技術を発表。
2019:ISO/TC298 第5回総会(東京)開催
2020年代
2021:政情不安に起因するミャンマーの供給不安により、酸化ネオジム等の価格が10年ぶりの高値を記録
2023:中国による技術輸出の禁止
2023:新金協「レア・アース(2023年版) 」出版
1940年代
1943:探照灯用フッ化希土生産のため日本金属化学(現・太陽鉱工)が設立される
1947:清美化学(現・セイミケミカル)設立
1949:日本金属化学、新日本金属化学に社名変更
1949:三徳金属工業(現・三徳)設立
1950年代
1957:日産稀元素化学設立。希土類化合物の生産開始
1957:和光物産、IREの総代理店となる
1960年代
1963:三井金属、三井物産と合弁で、三金レアアースを設立
1966:信越化学、高純度イットリアの企業化発表
1968:三井金属、東北金属工業との合弁で日本イットリウムを設立
1969:三金レアアース、三井金属の完全子会社となる
1970年代
1970:新日本金属化学、三光稀元素静岡工場を買収
1971:三徳金属、希土類金属の酸化物電解法を工業化
1974:三菱商事、Molycorpの総代理店になる
1975:三菱化成、Malaysian Rare Earth Corp(MAREC)を設立
1979:三菱化成、ノルウェーMEGONと合弁で、MCI-MEGONを設立
1980年代
1980:三菱化成、マレーシアにAsian Rare Earth(ARE)を設立
1980:三井金属、三金レアーアースを解散
1984:昭和電工、希土類合金の製造を開始
1985:住友軽金属工業、希土類母合金の生産開始
1985:三井金属鉱業、三池メタル工場で中国イオン鉱の処理開始
1986:ローヌプーラン、住友金属鉱山と合弁で、日本レアアースを設立
1986:三菱金属、アメリカReactive Metalと合弁で、NEOMETを設立
1990年代
1990:住友金属工業、Molycorpと合弁で、住金モリコープを設立
1994:日本レアアース解散
1997:同和レアアース解散
1997:三菱化学、黒崎工場の希土類生産を中止
1998:三菱マテリアル、アメリカ子会社Neometを清算
1999:三徳、アメリカ子会社Santoku Americaを設立
2000年代
2001:住友軽金属工業、希土類母合金の製造中止
2001:三徳、中国包頭に子会社の包頭三徳電池材料有限公司を設立
2002:昭和電工、中国包頭にネオジム合金を製造する合弁会社を設立
2008:昭和電工 ベトナムにレアアース合金製造子会社 昭和電工レアアースベトナム 設立
2010年代
2012:信越化学、中国にマグネット用合金の製造拠点を設立
2012:信越化学、ベトナムハイフォン市にネオジム磁石リサイクル原料を製造する会社を設立
2013:日立金属、米ノースカロライナ州でネオジム磁石の製造を開始
2013:豊通レアアースインディア 操業開始
2018:三徳、「日立金属株式会社」(現:株式会社プロテリアル)の子会社となる
2018:昭和電工(株)磁石合金開発事業をTDK(株)へ譲渡
2020年代
2020:米MP Materials、ニューヨーク証券取引所に上場
2021:中国稀土集団、中国の国有大手3社(中国アルミ、中国五鉱、贛州希土集団)の統合により設立 二大集団体制へ
2025:三井金属鉱業(株)日本イットリウム(株)を吸収合併
2025:三井金属鉱業(株)から三井金属(株)へ商号変更
2026:JAMSTEC探査船「ちきゅう」を用いて南鳥島沖の深海6000mからレアアース泥の連続揚泥試験に成功

会員企業

関係学会