一般社団法人新金属協会

希土類部会

業界業況

1.磁石 2025年1月から3月ごろまでは旧正月の関係と需要回復の期待感からDi Nd Tb Dy の価格は上げ傾向。4月に入り一時中国内外のDi供給過多によりNd含め価格軟化。5月以降再び市況は持直し6月には3月水準まで価格が回復。一方中国では米国輸入関税引上げを受け、4月4日に一部の中・重希土類...

業界業況

1.磁石

2025年1月から3月ごろまでは旧正月の関係と需要回復の期待感からDi Nd Tb Dy の価格は上げ傾向。4月に入り一時中国内外のDi供給過多によりNd含め価格軟化。5月以降再び市況は持直し6月には3月水準まで価格が回復。一方中国では米国輸入関税引上げを受け、4月4日に一部の中・重希土類関連7品目に対する輸出管理の実施を公告。その影響でTbは高騰、Dyは実需が弱いことから多少の値上げに留まった。6月以降は中国外レアアース混合原料も中国生産割当数量に含まれることから実質前年より生産量減となり、早いところでは10月後半より生産を停止する工場もでた。また、11月の高市首相の台湾有事発言を受け、中国との関係悪化懸念から価格が12月にかけて高騰。

酸化Ndは年初USD 56.63/kgから始まり12月末にはUSD 85.6/kgまで上昇。(対年初+49.16%)。酸化Tbは年初USD806.48/kgから12月末にはUSD1,087.5/kgまで高騰。(対年初+34.85%)。酸化Dyは実需と市場在庫の影響で年初USD 224.61/kgからUSD 240.5/ kgまでの上昇に留まった。(対年初+7.07%)。2025年中国の磁石材であるNdFeBの需要は例年通り年率8~10%程度増加。中国輸出規制の中重稀土以外のレアアース元素も大幅上昇となった。

中国の米国からのレアアース鉱石輸入量は減少傾向。2025年7月以降の輸入はゼロ。これは米国における酸化物消費量の増加と6月以降中国外原料も生産枠に含むことによる影響。ミャンマーよりの輸入量は3月までは雨季による出荷量減少が要因であったが、その後輸入量は増加。1~12月までに中国が米国から輸入した希土類鉱石の希土類酸化物(REO)は前年同時期の30,276mtから12,859mtまえ減少(前年対比▲57.52%)。ミャンマーから中国へのレアアース鉱石の輸出量は前年34,697mt(REO)から34,363mtの微減に留まった。(前年対比▲0.96%)。

2.蛍光体

2025年1~12月の蛍光ランプ国内出荷個数は前年同期比で約7%減であった。LEDランプへの代替が進み蛍光ランプ市場は縮小傾向が続いている。また、国際条約により一般照明用蛍光ランプは2027年末までに製造終了することが決まっている。

2025年1~12月の薄型テレビ国内出荷台数は、前年同期比でほぼ横這いあった。多様な映像技術による大画面化が進む一方で、個人がスマホ等で動画を視聴するスタイルのいわゆる「テレビ離れ」現象も見られる。

照明やディスプレイ用LEDにはレアアース系蛍光体も用いられるが、使用量は極めて少ない。

この分野のレアアース需要は減少した。

3.セラミックコンデンサ

2025年のセラミックコンデンサの国内生産は前年同期比横ばいの10,730億個となった。

AI向けやサーバー向け市場、スマートフォン向けで需要は堅調に推移した。

カーエレクトロニクス向けは自動車向け受動部品において使用部品数も増加、生産台数も増加傾向となり需要は増加した。且つ、産業機器向けも堅調に推移したため、全体的には好調に推移したと思われる。

しかしながら、セラミックコンデンサでは脱レアアース及び小型化、生産者の海外現地生産等によりレアアースの使用量は低位安定した状況で大きな変化はない。

4.排ガス触媒

2025年の世界の自動車市場は、生産台数、販売台数とも2024年比で増加し堅調に推移した。一方、国内の自動車生産台数については、2024年のメーカーの認証問題による生産停止の反動増によるプラス面と米国関税への対応などによるマイナス面もあり、生産台数としては、大きく減じた2024年から2%の増加となった。

そのような状況下、2025年1-12月の自動車排気ガス浄化用触媒の生産量は8,466tと2024年1-12月の9,020tから6%減、販売量についても2024年比で6%減となった。前年からの減少は、自動車の生産車種の構成などが影響していると思われる。販売金額については2024年比で4%増となった。販売金額の増加は、触媒成分である貴金属価格が上昇したことにより販売単価が上がった影響による。

5.研磨材

  液晶用ガラス基板、ハードディスク用ガラス基板などに使用されるセリウム系研摩材の2025年上半期の需要は、回復の兆しはあるものの低調に推移した。液晶用ガラス基板は、2024年から大きな変化はなく、需要は低調に推移したと見られる。一方、ハードディスク用ガラス基板は、2024年下半期同様、AIサーバーなどの需要が堅調に伸びている様子であり、それに伴い需要も堅調に推移したと見られる。

活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。 ・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に...

活動概要

・中国から提案された希土類原料・製品各種のISO標準作成について、経済産業省国際標準課、金属課等関係課と意見交換するとともに、国内対応のために新設した研究会・委員会に部会全社が参加するなど対応を行いました。
・新金属産業災害防止対策安全委員会における「新金属産業災害防止に関する行動計画」の策定に協力しました。
・日本の希土類需要推移を集計し、公表するとともに、製品ごとの需要状況等について経済産業省金属課及び資源エネルギー庁鉱物資源課と情報・意見交換会を開催しました。
・中国が特恵関税対象国から卒業するに当たり、一部の加工用原材料品が課税対象品となることから、輸入関税非課税品の対象となるように折衝を開始しました。
・協会ホームページで部会活動、業界動向等の情報を広く発信するための議論を行い、発信内容を検討しました。

年表

18世紀
1794:レアアースの発見
19世紀
19C末:ガスマントル(トリウム、セリウム)が工業化
1940年代
1947:レアアース15元素すべて明らかになる
ブラジル、インド、アメリカでモナザイト鉱石の処理本格化
1950年代
1951:米Molycorp,Montain Pass操業開始
1952:IndianRareEarths、操業開始
1954:モナザイトの世界生産量1万トン
1956:米W.R Grace社、希土類生産開始
1957:中国で白雲鉱処理開始
1960年代
モナザイト鉱石の生産はブラジル、インド、アメリカ、南アフリカ、オーストラリア
アメリカでプラセオ黄の顔料が開発される
FCC触媒量産
1970年代
アラスカの天然ガス輸送パイプラインにミッシュメタル添加がブームに
超磁歪材料(TbDyFe)が開発される
1977:中国から日本へ希土類原料輸入開始
1980年代
1980:中国希土工業代表団来日。協会、阪大、関係者各社訪問
1981:中国でイオン吸着鉱開発
1985:希土類鉱石の世界生産量4万トン
1987:中国、希土類原料で世界一の生産国となる
1988:第1回日中レアアース交流会開催
1990年代
オーストラリアでモナザイトの公害問題が表面化
1992:ブラジル、希土類鉱石の処理中止
1993:中国、鄧小平氏が南順講話にて「中東有石油、中国有希土」と発言
1994:マレーシア、希土類の分離中止
1997:中国、希土類製品の輸出許可制度がスタート
2000年代
2000:希土類鉱石の生産量8.1万トン中国が85%を占める
2002:中国で希土類の鉱山開発、製錬分離事業への外国企業の投資が禁じられる
2004:中国、希土類鉱石生産量9万8,000トン
2005:中国、希土類製品の輸出に関し、増値税還付を廃止
希土類原料の価格上昇
希土類原料の中国依存度の問題
2010年代
2010:希土類鉱石の世界生産量13.3万トン 中国が98%を占める
2010:中国、希土類の輸出枠を大幅削減。希土類価格の高騰が始まる。価格は翌年夏にピークとなる
2010:尖閣諸島中国漁船衝突事件
2012:豪Lynasが、マレーシアでの希土類生産を開始する
2015:中国の輸出規制措置がWTO協定に違反するとして輸出枠を撤廃
2017:米MP Materialsが、倒産したモリコープから米国唯一の希土類鉱山「マウンテンパス」を買収し、再稼働を開始
2019:米中貿易摩擦が激化。レアアースが論点となる
2020年代
2020:希土類鉱石の世界生産量24万トン 中国が58%、米国16%、ミャンマー13%、豪9%
2020:中国、「輸出管理法」を施行。国家安全保障を理由とした規制の法的枠組みが整う
2023:中国、「希土類磁石(ネオジム磁石等)の製造技術」および「抽出・分離技術」の輸出を禁止
2023:米MP Materials、分離レアアース製造を再開
2024:中国、「希土類管理条例」を施行。レアアースを国家所有と明記し、採掘から輸出までを一元管理
2025:希土類鉱石の世界生産量39万トン 中国71%、米国12%、豪8%、ミャンマー7%等
2025:豪Lynas 豪州由来のレアアース鉱石をマレーシアで分離・精製して得られた重希土を輸出
2025:中国、Tb・Dyなど中重希土類7種に関連する品目の輸出管理を実施
1926年代
ライター石の生産開始
1940年代
アークカーボン用フッ化セシウム量産開始
1950年代
板ガラスの研磨に酸化希土(セリウム)が本格採用される
鉄鋼用ミッシュメタル量産開始
1960年代
1962:新金属早わかりシリーズ『レアアース』刊行(新金属協会)
日立、カラーテレビ「キドカラー」発売
Y、Euに蛍光体需要出る
酸化ランタンを添加した高屈折レンズが開発される
1970年代
セラミックコンデンサーに酸化ランタンが使用される
ソニー、ウォークマン発売
SmCo磁石の需要拡大
自動車三元触媒の登場。酸素センサーの開発(Ce、Y)
1980年代
1982:日本希土類学会創立
三波長蛍光ランプの普及(Y、Eu、Tb)始まる
ミノルタ、オートフォーカスα7000発売
住友特殊金属、NdFeB磁石を発表
世界的な超伝導フィーバー(Y)
1990年代
ニッケル水素電池が実用化
ソニー、ミニディスク発売(Tb、Dy)
自動車用の紫外線吸収ガラスにセリウムが使用される
1993:希土類磁石がフェライト磁石の販売額を抜く(1,767トン、488億円)
携帯電話が普及し始める
Windows95発売。
HDD向けネオジ磁石の需要拡大
トヨタ初代プリウス発売
2000年代
ランタン添加の高性能フェライト磁石普及
京都議定書批准による省エネ、環境問題から、モーター、電池の需要増大
【課題】燃料電池の開発、磁気冷凍の開発、コージェネデバイスの普及、希土類原料のリサイクル促進
2代目プリウスでハイブリッドカーが普及(ネオジ磁石、ニッケル水素電池の需要拡大)
フラットパネルディスプレイの普及(PDP、液晶)
2010年代
2013:昭和電工、Gaを含んだ低B組成で重希土類を大幅に削減したネオジム磁石を開発
2016:ホンダと大同特殊鋼が、重希土類(Dy、Tb)を使用しない「完全フリー磁石」をハイブリッド車用モーターに採用。
2016:ISO/TC298(希土類)設立
2018:トヨタ自動車が、ネオジム使用量を半減させ、LaやCeを活用する磁石技術を発表。
2019:ISO/TC298 第5回総会(東京)開催
2020年代
2021:政情不安に起因するミャンマーの供給不安により、酸化ネオジム等の価格が10年ぶりの高値を記録
2023:中国による技術輸出の禁止
2023:新金協「レア・アース(2023年版) 」出版
1940年代
1943:探照灯用フッ化希土生産のため日本金属化学(現・太陽鉱工)が設立される
1947:清美化学(現・セイミケミカル)設立
1949:日本金属化学、新日本金属化学に社名変更
1949:三徳金属工業(現・三徳)設立
1950年代
1957:日産稀元素化学設立。希土類化合物の生産開始
1957:和光物産、IREの総代理店となる
1960年代
1963:三井金属、三井物産と合弁で、三金レアアースを設立
1966:信越化学、高純度イットリアの企業化発表
1968:三井金属、東北金属工業との合弁で日本イットリウムを設立
1969:三金レアアース、三井金属の完全子会社となる
1970年代
1970:新日本金属化学、三光稀元素静岡工場を買収
1971:三徳金属、希土類金属の酸化物電解法を工業化
1974:三菱商事、Molycorpの総代理店になる
1975:三菱化成、Malaysian Rare Earth Corp(MAREC)を設立
1979:三菱化成、ノルウェーMEGONと合弁で、MCI-MEGONを設立
1980年代
1980:三菱化成、マレーシアにAsian Rare Earth(ARE)を設立
1980:三井金属、三金レアーアースを解散
1984:昭和電工、希土類合金の製造を開始
1985:住友軽金属工業、希土類母合金の生産開始
1985:三井金属鉱業、三池メタル工場で中国イオン鉱の処理開始
1986:ローヌプーラン、住友金属鉱山と合弁で、日本レアアースを設立
1986:三菱金属、アメリカReactive Metalと合弁で、NEOMETを設立
1990年代
1990:住友金属工業、Molycorpと合弁で、住金モリコープを設立
1994:日本レアアース解散
1997:同和レアアース解散
1997:三菱化学、黒崎工場の希土類生産を中止
1998:三菱マテリアル、アメリカ子会社Neometを清算
1999:三徳、アメリカ子会社Santoku Americaを設立
2000年代
2001:住友軽金属工業、希土類母合金の製造中止
2001:三徳、中国包頭に子会社の包頭三徳電池材料有限公司を設立
2002:昭和電工、中国包頭にネオジム合金を製造する合弁会社を設立
2008:昭和電工 ベトナムにレアアース合金製造子会社 昭和電工レアアースベトナム 設立
2010年代
2012:信越化学、中国にマグネット用合金の製造拠点を設立
2012:信越化学、ベトナムハイフォン市にネオジム磁石リサイクル原料を製造する会社を設立
2013:日立金属、米ノースカロライナ州でネオジム磁石の製造を開始
2013:豊通レアアースインディア 操業開始
2018:三徳、「日立金属株式会社」(現:株式会社プロテリアル)の子会社となる
2018:昭和電工(株)磁石合金開発事業をTDK(株)へ譲渡
2020年代
2020:米MP Materials、ニューヨーク証券取引所に上場
2021:中国稀土集団、中国の国有大手3社(中国アルミ、中国五鉱、贛州希土集団)の統合により設立 二大集団体制へ
2025:三井金属鉱業(株)日本イットリウム(株)を吸収合併
2025:三井金属鉱業(株)から三井金属(株)へ商号変更
2026:JAMSTEC探査船「ちきゅう」を用いて南鳥島沖の深海6000mからレアアース泥の連続揚泥試験に成功

会員企業

関係学会